〜装蹄師と獣医師による総合治療〜


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トータルケアってなに?









 多くに人は、装蹄を勘違いしている!?

  さて、「何を勘違いしているのか?」が問題になりますね。
  それは、「
装蹄は万能である!」と思っているということです。
  もっと言ってしまえば、跛行の原因、腱炎や軟腫など
全ての原因は、装蹄の失陥だと
  思っている人が多いのです。
確かに原因の一つではあるとは思います、でも、装蹄だけが
  原因で起こる跛行は、ほんの一部に過ぎないのではないのではないでしょうか。

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 装蹄の失陥で何が起こるか?


  ・ 蹄底(ていてい)や蹄負面(ていふめん)の圧迫

    
削蹄の失敗蹄鉄の不平坦原因で起きる跛行(はこう)です。
    不平坦な削蹄に平坦な蹄鉄、平坦な削蹄に不平坦な蹄鉄、あるいは両方不平坦
    な場合に起きます。歩行時には、蹄負面と蹄鉄が面で接しない為に力が分散せず、
    一箇所に負重がかかってしまいます。
    蹄を浮かしていても、釘が押しつける力により、常に圧迫されます。
    過剰に負重のかかった個所、
圧迫されていた個所は、床ずれと同じ症状がでます。

  ・ 釘傷(ちょうしょう)

    
釘が知覚部に触れてしまったことが原因で起きる跛行です。
    
直接触れなくても、知覚部の近くに釘を打ってしまった場合も、数日以内に跛行
    起こします。

  ・ 過削(かさく)

    蹄を
切りすぎたことが原因で起きる跛行です。
    出血を伴うものや蹄負面の厚さが足りないもの、どちらも蹄が敏感になってしまった
    為に起こります。

  ・ 軟腫(なんしゅ)

    
バランスが崩れたことが原因で起きる軟腫です。
    その肢のみが原因の場合は少なく、馬体の負担を庇っているために起きる事が多いです。

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 装蹄で出来る事

 装蹄は万能ではありません出来るのは、崩れたものをベストの状態に直すことです。
 
 ・ 蹄のバランスを直す。

   蹄のみではなく、蹄鉄も含んだ内外や前後バランスを直します。
   バランスを直す事により、
浮腫みなどはかなり解消されます。
   
運動の種類や馬体の問題を庇う事により、通常より短期間にバランスが崩れることも
   あります。

 ・ 馬体や脚への負担を減らす。

   
馬体の問題に応じて獣医師と相談し、蹄鉄の種類やいろんなパーツを使うことにより
   
対応します。

 ・ 競技に応じた装蹄

   競技に応じて、その
競技に合う蹄鉄を装蹄します。

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 装蹄するとこんな事も・・・

 厩務員さんに

 「肢がモヤッとしたので直してくれ。」(装蹄後10〜14日)

 と言われバランスを取り直し、翌日には

 「肢、スッキリしたよ!」

 と言われた事はありましたが、私はバランスを直した影響は少なく、馬の体調の変化や自然
 治癒などが原因だと思っていました。ところが、トータルケアを始めて
装蹄前・後の写真を撮る
 ようになってから、はっきりと
その違いを確認する事が出来ました。
 
 装蹄が終わり、馬を引き取りに来た厩務員さんが肢を見て

 「肢、スッキリしてないですか。
浮腫みが取れたというか・・・

 と言うので、
写真で確認して見ることにしました。(私は、そんな直ぐに浮腫みは引くものでは
 ないと思っていました。)
 ところが装蹄前の写真を見てびっくりしました。本当に
浮腫みが引いているのです。
 今回、バランスが狂っていた事もありましたが、厩務員さんの言っていた事を目の前で体験す
 ることが出来ました。

 全てが全てではなく、あくまでも
ケースバイケースの1例として挙げておきます。

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 歩様検査について

 皆さんは歩様検査をする時に何処を見ていますか?
 肢の振り出しや踏み込み具合?蹄の先着部位や反回方向?外弧か内弧かはたまた
 仮性内弧か?

 でも、馬はいつでも
同じ動きをするものなのでしょうか?
 並足で速足、駆足・・・・・・
色々な歩法がありますが、同じ動きをする訳ではありませんね。
 
同じ歩法でさえ、毎回同じに踏む事は無いと思います。

 では、どこを見たらいいのか?

 私が診る個所は
球節の沈下方向や沈下の仕方です。
 体重がきちんと支えられているかどうかが良くわかりますよ。

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 装蹄の時期を考える

 装蹄時期の基準としている日数は、色々ありますね。
 例えば
 ・競走馬(JRA)は14日前後
 ・競走馬(NRA)は20〜30日前後
 ・乗馬馬は30〜50日以上
 こうやって見ると結構バラバラですね。

 でも殆どの場合、装蹄師さんが言った
目安の日数が、いつの間にか一人歩きしていると
 思います。
日数はあくまでも目安なのに、いつの間にか、基準に近いものになってしまって
 います。他にも装蹄の目安として挙げられるのは、蹄鉄の減り具合や馬の運動内容・・・など
 です。
蹄鉄の減り具合馬の運動内容も、残念ながら目安です。

 日数や蹄鉄の減り、馬の運動内容などを基準にしないのならば、いったい
何を基準にすれば
 いい
のでしょうか?

 では、少し考えを変えて、装蹄をしてもらう時の事を考えてください。装蹄の時は何が気に
 なりますか?


 ・
蹄の角度
 ・
内外のバランス
 ・
蹄鉄の適合具合
 多分このような点だと
 思います。

 右の写真は、削蹄の時に
 鎌で切り取る一枚の薄さ
 です。反対側が透けて見え
 る位の薄さです。

 削蹄の時はその位の違いに
 気を張っています。








 これは約一ヶ月後の装蹄
 の時に蹄を切った量です。

 約一ヶ月で蹄はこれくらい
 伸びます。(馬の健康状態や
 気温や湿度、個体差により
 様々です)














 バランスの崩れは蹄だけ
 ではありません。

 蹄鉄も左の写真のように
 磨り減り、バランスが崩れ
 ます。















 左の写真、蹄鉄が摩滅
 いるのが判りますか?

 これはアルミニューム製の
 蹄鉄ですが、蹄と比べると
 遥かに固いです。

 その蹄鉄が蹄と擦れる事で
 このように摩滅してしまうの
 です。

 アルミニュームがこれだけ
 摩滅するのですから、蹄が
 どれだけ摩滅するかは想像
 できるかと思います。

 ちなみに蹄鉄に現れるこの
 摩滅は『溝状摩滅』といいます。

 
蹄の伸び・蹄の潰れ・蹄鉄の減り、バランスの崩れは3ヶ所で起きています。
 装蹄してから日にちが経ち、
内外のバランス蹄の角度・蹄鉄の適合具合
 
変化が大きくなってきたら装蹄時期ということになります
 ですが、残念ながらこの
装蹄時期の見方は、装蹄師でなくては出来ません。
 
 馬は生き物であり、状況は常に変わっていきます。蹄鉄は義蹄(義足)のようなものです。
 できれば、装蹄(馬体全体も含めて)に関して、
自分で判断せずにプロに相談してください。

 特に競技を行っている馬(競走馬・乗馬馬)などの場合、
 「装蹄をして極端に蹄の形が良くなった」
 場合などは日にちのおき過ぎです。なるべく
蹄の変化を少なくしてあげるのが理想です。

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蟻洞(蹄葉炎)の治療


 残念ながら、多少削蹄後の写真です。
 見て判る通りほぼ半分ありません。

 体重を支えられ場所を確保しなくては、
 ならないので、これ以上の鑢削はおこ
 なわないでおきました。














 外側の写真です。
 葉状層が完全に露出しています。

 この写真だと、それほど酷そうには
 見えないのが不思議です。

 実際は悲鳴ものです。












 内側からの写真です。
 こうみると意外なほど蹄尖は長くない
 ですね。

















 蹄底からの写真です。
 蹄底はぎりぎりの深さはかろうじてあり
 ますが、内側だけでどれだけ支えられ
 るか不安です。















 外側のアップです。
 乾燥しているのが幸いですが、とても
 釘を打てる状態ではありません。

 さっきの写真では判らなかった所が
 よく見えますね。













 内側のアップです。
 こちらは外則とは違い湿った耳カス
 みたいな状態です。湿っています。

 深さは1〜2センチ位ありますが、
 蹄壁がしっかりしているのが救い
 どころです。

 鑢削をあまりしなかった理由はここに
 あります。
 鑢削をしてしまうと、蹄壁が薄くなって
 強度がなくなってしまうからです。







 こうやって見ると「どうしようかな?」
 なんて思ってしまいますね。

















 かなり怪しい亀裂です。
 下手すると外側と同じになりかねま
 せん。
 でも今は手の出し様はありません。

 もう少し安定したら、状況にあった
 処置をしていこうと思います












 作業が忙しく、一番重要な処置の
 工程がとれませんでした。
 装蹄時に突然言われたので、道具が
 なにも無く、ホームセンターでどうにか
 そろえたもので処置しました。

 まず、全体を徹底的に焼きました。
 その上でスラッシュバスターを塗布、
 十分乾いたところで、車用のパテで
 埋めました。

 使ったのは、ホルツのグラスファイバー
 入りのパテで、FRP用のもです。
 乾燥時間が早く15分で硬度がでました。
 固まり始めるのはもっと早く、ゆっくり
 練っているとアウト!使えなくなって
 しまいます。ちなみに値段は1000円
                                    位で2本使いました。内側の隙間にも
                                    充填し補強を狙いました。


 かなり良くなったと思います。
 でも、釘は内側に3本だけです。
 外側の強度が不安ではあります。

















 遅れましたが、蹄鉄はニュームを
 リバーシブルにして使いました。
 ヒールリフトの巨大版も使い、蹄角度を
 起こしてあります。
 蹄底にはACSのかわりに、コーキング剤
 を塗布しました。

 気になるのは細菌の再発や外側の
 強度、接着状態ですね。
 内側がもっていかれたら、かなりまずい
 です。








   今後の経過を載せて行く予定でしたが、この馬は老衰で天寿を全うしました。
   徐々に状態は良くなっており、もう少しで走る姿がみれたかもしれませんでした。



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蹄葉炎のメカニズム

 蹄葉炎とはどういう病気なのかをみてしていきましょう。
 下の2つの図を見て下さい。
 図1は蹄を横から、図2は蹄を正面から見たものです。

  

  蹄骨の沈下の違いは何故起きるのか?

   原因は葉状層に起きている障害の規模の違いです。




   蹄壁の内側全面に角小葉があります。 蹄骨全体に肉小葉があります。
   葉状層に起きている問題とは、
角小葉と肉小葉の結合が緩み剥がれていくことです。


 これはミニチュアホースの
 白帯です。
 普通の馬に比べても異常
 に白帯の幅が広いことが
 わかります。

 蹄葉炎を起すとこのように
 白帯の幅が異常に太くなり
 ます。

 よくみると白帯に縦の線が
 いくつもあるのが、判ると
 思います
 
 線の正体は
 『角小葉と肉小葉』です。

 角小葉と肉小葉が重なり
 あっているのが判りますね。



 ミニチュアが蹄葉炎を起し
 た原因はロングトーです。
 判りにくいですが、異常に
 蹄が伸びています。
 
 これだけ伸びてしまうと
 歩くたびに蹄が反り返り
 蹄に物凄い負担がかか
 ります。

 ミニチュアで体が軽かった
 事が幸いして大事には至
 りませんでした。









 普通の馬の蹄です。
 白帯の綺麗な状態です。

 白帯の悪い状態の写真は
 いくつもあるのですが、良い
 状態の写真はなかなかない
 のです。

 アングルが悪くてすいま
 せん。
















 ちょっと話がずれてしまいました。
 蹄葉炎の種類に話を戻しますね。

   シンカーとは
   葉状層の結合が全域で崩壊し、蹄骨を吊り下げることが出来なくなる症状のことを
   いいます。

   ローテーションとは
   葉状層の結合が広域で崩壊し、蹄骨を吊り下げるのが困難になっていき、深屈筋の
   力に負け蹄骨が回転していく症状のことをいいます。


   葉状層になぜ問題が起きるのか?
   蹄葉炎の原因とされている要因を挙げていきます。

   ・ 炭水化(穀類)の過剰投与
   ・ 体調を無視した激しい運動
   ・ 胃腸失陥     大腸炎・絞拒などの虚血性腸失陥などの仙痛。
   ・ 感染症      肺炎や胸膜炎・分娩後の子宮炎など。
   ・ 負重性      骨折などで負重困難になった肢の対側肢など。
   ・ ストレス      輸送・環境の変化など。
   ・ 薬剤投与     ステロイド剤の長期投与など。
   ・ その他の疾病  肝臓障害・クッシング病など。

   などなど、蹄葉炎の発症の要因となりうる疾患は極めて多いのです。
   しかし、要因となる疾患を患っていたとしても、実際に蹄葉炎を発症するかどうかは、
   
馬のコンディションや疾患の程度に大きく左右されます。


   蹄葉炎が発症してしまったら

   出来るだけ早期の発見、早期治療が良いのですが、残念ながら非常に難しいのです。
   なぜなら、急性期と言われる発症してから24〜72時間は、葉状層の剥離が起こりません。
   剥離が起こらないので、レントゲンでの蹄骨の変化を確認する事が出来ません。

   そのまま蹄葉炎が悪化せずに、慢性期といわれ症状が安定した状態に移行する症例が
   多く、ほとんどの馬に蹄葉炎の後を見ることが出来ます。白帯に色の違う部分、濁ったよ
   うな色や幅の広い部分、他より柔らかい部分などがあれば、それが蹄葉炎の後です。

   大事な事

   蹄が剥がれ落ちる疾患という認識は昔の考え方です。蹄葉炎は一般的な疾患で
   あり、どの馬でもみる事が出来ます。そして、酷い症状でもきちんと治療していけば、
   時間はかかりますが治る疾患です。



   葉状層が剥がれると・・・・。

 

  この図は蹄の側面のものですが、
葉状層は蹄壁の内側全体にあります。

  葉状層の炎症(剥離)はよく起きている事です。蹄様炎が起きた場合、白帯(黄緑色の部
  位)の幅が通常時よりもが広くなります。つまりそのような部位があればそこで蹄葉炎が
  起きていたと言う証拠になります。

  葉状層の剥離が大規模で起きた場合。蹄骨をぶら下げ固定する力が弱くなってしまいます。
  そうなると屈腱の引っ張る力に負け、蹄骨が回転(ローテーション)していってしまいます。
  (蹄に懸かる力の方向・参照)

  葉状層の剥離がさらに大規模になると、蹄骨をぶら下げて固定する力が無くなってしまい
  ます。こうなってしまうと、手の施し様がありません。蹄骨と蹄壁はどこにも接する部位がな
  くなり、脱蹄(蹄が取れてしまうこと)してしまいす。設備が整っている施設で、24時間体勢
  で看護をするのであれば治る可能性もありますが・・・・。


 蹄叉の先に半月状の赤い血判があるのが
 判るでしょうか?
 
 蹄骨と蹄底が当たった痕跡です。
 外的なものではなく、蹄内部の問題で
 出たものです。




















 こちらも同じような写真です。
 白帯に蹄葉炎があった痕跡が
 ありますね。
 蹄底にも同じようなものが、見
 受けられます。

 この2つの症例の馬は、確実に
 蹄葉炎を起こした痕跡はありま
 すが、跛行を起こしているわけ
 ではありません。

 慢性の蹄葉炎です。






 白帯の真中(赤丸の部位)。まだ母馬のお腹の中にいる時、蹄は両サイドから出来て
 いきます。そして最後に蹄がくっ付き出来上がる場所です。
 くっ付いて出来た場所なので、他の部位に比べると多少ですが強度や結合が弱いです。
 そして運動時には、一番負担がかかる部位です。

 蹄葉炎になると中の結合が弱くなるため(蟻洞になるとなおさら)、このように裂蹄が起き易く
 なります。


 蹄葉炎の2時災害。

  それは蟻洞です。
  上の図の葉状層が剥がれた部位(赤い部位)には、ラメラーウェッジと言う脆弱な角質が
  出来ます。ラメラーウェッジによって、剥がれた部位は充填されとりあえずの強度を得る事が
  出来ます。

  問題はラメラーウェッジに菌が住み着き易いと言う事です。主に真菌が住み着き繁殖して
  しまいます。

  するとどうなるか?
                                       

 充填された部位が空洞になって
 しまうのです。

 空洞になってしまった蹄は極端
 に強度を失ってしまいます。















 
 では、「なってしまったらどうしたらいいの?」となりますよね。
 いろんな症状の段階があります。段階に応じて説明していきます。

  跛行がまだ無い場合。(症状1〜5)

  1・蹄底が浅くなってきている。
  2・蹄底や白帯にラメラーウエッジや蹄葉炎(葉状層の炎症)の痕跡がある。
  3・ロングトーや凹湾がみられる。
  4・蹄踵部の方が蹄尖部よりよく伸びる。
  5・若干の蟻洞がみられる。

  跛行が若干見られる場合。(症状1〜9)

  6・問題のある脚に体重をかけたがらない。
  7・暫く休養すると跛行が消える。
  8・放牧場に放すと少しは動く。
  9・蟻洞の範囲が広範囲になりつつある。

  跛行が顕著に現れている場合。(症状1〜13)

 10・問題のある肢で負重しない。
 11・歩く事が非常に困難。
 12・体重を後ろ足にかける(前肢にかける)。
 13・蟻洞が深く広範囲に広がっている。


  症状1〜5の場合
  1・蹄底が浅くなってきている。
  2・蹄底や白帯にラメラーウエッジや蹄葉炎(葉状層の炎症)の痕跡がある。
  3・ロングトーや凹湾がみられる。
  4・蹄踵部の方が蹄尖部よりよく伸びる。
  5・若干の蟻洞がみられる。

  まだ初期症状です。
  ロングトーや凹湾の修正、蹄踵部過高によるアンダーランヒールの修正、修正後の
  ヒールリフト使用などを行うと改善されていきます。


  症状1〜9の場合
  1・蹄底が浅くなってきている。
  2・蹄底や白帯にラメラーウエッジや蹄葉炎(葉状層の炎症)の痕跡がある。
  3・ロングトーや凹湾がみられる。
  4・蹄踵部の方が蹄尖部よりよく伸びる。
  5・若干の蟻洞がみられる。
  6・問題のある脚に体重をかけたがらない。
  7・暫く休養すると跛行が消える。
  8・放牧場に放すと少しは動く。
  9・蟻洞の範囲が広範囲になりつつある。 
 
  かなり燻り始めていると思って間違いないと思います。
  葉状層のきちんと結合されている部位が少ないために、運動量が増えたり負担がかかると
  跛行を起こしてしまいます。しかし、暫く休むと回復するレベルでもあります。
  回復はしますが、一度剥がれた葉状層は二度と回復しません。
  回復するには、新しい蹄が生えてくるのを待つしかありません。
  
  暫く休むと回復するからと、休んでは使ってなどと繰り返していると、悪化する事はあっても
  良くなる事は無いと思います。この段階できちっと治療に専念すれば、かなりの確立で完治
  すると思います。


  症状1〜13の場合
  1・蹄底が浅くなってきている。
  2・蹄底や白帯にラメラーウエッジや蹄葉炎(葉状層の炎症)の痕跡がある。
  3・ロングトーや凹湾がみられる。
  4・蹄踵部の方が蹄尖部よりよく伸びる。
  5・若干の蟻洞がみられる。
  6・問題のある脚に体重をかけたがらない。
  7・暫く休養すると跛行が消える。
  8・放牧場に放すと少しは動く。
  9・蟻洞の範囲が広範囲になりつつある。
 10・問題のある肢で負重しない。
 11・歩く事が非常に困難。
 12・体重を後ろ足にかける(前肢にかける)。
 13・蟻洞が深く広範囲に広がっている。

  非常に危険な状態だと思います。放っておくと他の肢にも蹄葉炎が発症しかねません。


 この馬はかなり酷い状態でした。
 症状1〜13を殆ど併せ持って
 いました。

 見ての通り蹄骨(A)と蹄壁(C)
 蹄骨(B)と蹄底(D)は並行に
 なっていません。
 蹄骨(A)と蹄壁(C)の間にある
 葉状層の剥離が起こっています。

 蹄骨(A)と蹄壁(C)の線が蹄冠
 のあたりで交わっています。
 これはローテーション(蹄骨の回
 転)の影響です。
 蹄冠の血流が著しく悪くなり、蹄
 踵部へ血液が流れていってしま
 います。


 蹄骨(A)と蹄壁(C)の間にある葉状層への血流も、当然不足してしまいます。
 蹄骨(B)蹄底(D)の間では圧迫もおこっています。
 もしこの写真の、蹄骨(B)が蹄底(D)と平行ならば、蹄葉炎ではなくロングトーと言う事
 になります。


 2回目の処置後の写真です。
 
蹄骨(A)と蹄壁(C)
 蹄骨(B)と蹄底(D)
 が並行になってきました。

 跛行も改善してきましたが、まだ
 まだ安心はできません。














 処置を始めて約4ヵ月後の写真
 です。
 
蹄骨(A)と蹄壁(C)
 蹄骨(B)と蹄底(D)
 がかなり並行になってきました。


 蹄骨(A)と蹄壁(C)の線が最初
 の写真では、蹄冠のあたりで交
 わっていましたが、この写真では
 かなり離れています。

 ここまで来れば放牧を始めても
 問題ないでしょう。
 あとは状態を見ながら、運動強度
 上げていきます。

 



 残念ながら「再発はしない」とは言い切れません。
 一度蹄葉炎を起こしているということは、なり易い何かがあると言う事だからです。
 だからと言って怯えていてもしょうがありません。
 再発しないようにできるだけの対策し、再発の早期発見、早期治療を心がける
 しかないでしょう。幸いな事にこの馬は今は殆ど完治し、元気に走っています。

 最後に

 蹄葉炎は装蹄師や獣医師の力だけでは治らなかったと思います。
 この馬を管理していたクラブの方、見捨てないで治そうと思って頑張って頂いたオーナーさん
 の協力があってのものだと思います。


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 少しずつですが、内容を増やしていきます。

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